小さな花たち

旅先や日々の生活で見過ごされそうなひとときを、思いのままに綴ります

夏の夕方、温泉街での思い出

以前の写真を見て、もう一度行きたいと思う特別な宿がある。温泉街の高台にあり、木のぬくもりを存分に感じられるしつらえ。地酒を楽しめるバーや、コーヒーなどを飲みながら書籍や雑誌を読むことができるライブラリーラウンジもある。しかし、ほかにない魅力は、この宿と、この宿から徒歩4分ほどのところにある姉妹館の宿を行ったり来たりして温泉を楽しむことができる湯めぐりだ。

もちろん温泉そのものの楽しみもあるが、この徒歩4分の道のりが、またとてもいい。夕暮れ時に、足元の照明が美しい木の廊下を通って、高台の宿の外に出る。坂道を下ると、小道が伸びている。こっちの道を行くのかな?と思うほど、観光客はまばらだ。角のちょっとしたスペースで、木の椅子を出して涼んでいる人がいた。渓流と夏の虫の音が聞こえる。温泉街のぽっ、ぽっと灯りが灯る建物の間の細い道を歩いていくと、渓流にかかる橋の向こうに姉妹館が見えた。アーチのフォルムが美しいエントランス。一つの宿に宿泊予約をしながら、2つの宿を楽しめる、あまりない経験。おすすめだ。

会津東山温泉くつろぎ宿(福島県