小さな花たち

旅先や日々の生活で見過ごされそうなひとときを、思いのままに綴ります

涼を求めて… ②

夏に「涼」と聞いて、思い浮かぶのが、渓流や滝だ。最近訪れた滝は、流れ落ちる滝の裏側に回ることができることでひそかに人気を集めている。正面からは、二筋に分かれて流れ落ちる滝が見られる。二つの滝の流れ方が異なり、それが美しい景観を作り出している。滝の裏側、つまり奥の洞窟みたいな空間は、立ち入ってはいけない神秘的な場所に見える(実際、中に入れてしまい、そこから滝の裏側を見ることができるのだが…)。水量が増えると、この二筋の夫婦滝に加えて子滝が現れるようで、安産や子育て、開運を祈る場とされ、胎内観音が祀られている。滝に濡れることなく、奥の空間に入ることができ、滝の裏側から流れ落ちる水しぶきを見ているとなぜか安心するのは、こういった滝の性質からだろうか。

この滝から車で20分ほど行ったところに、日本三名瀑の一つがある。幅が73メートルもあり、高さ120メートルのところから4段になって流れ落ちるので、「四度の滝」という別名がある。この地を訪れた西行法師が、「四季に一度ずつ来てみなければ、真の風趣は味わえない」と絶賛したことから、この名前がついたとも。それほどに、春夏秋冬、それぞれ異なる趣を楽しめる滝なのだ。

滝の近くは、もちろん涼しく感じられる場所なのだが、この滝の面白いところは、人工的に整備されたアプローチだ。入口を入るとトンネルがある。夏に訪れたときは、青色にライトアップされていて、ひんやりとした空気がとても気持ちがよく、歩くのが楽しい。ここからすでに「涼」を感じられるスポットだ。トンネルの右側に観瀑台に続く穴が空いていて、この穴から少し見える滝の姿もいい。

第1観瀑台からは、幅広く広がる滝が目の前を勢いよく流れ落ちる様子を見ることができ、まさに圧巻。吊り橋があり、そこで異なる角度からの滝も楽しめる。エレベーターで第2観瀑台まで行くと、屋外から滝の全景を望むことができる。水量の変化により、さまざまなハートが表れるそうだ。

滝を訪れた後に立ち寄ったカフェは、古い民家で、レトロな雰囲気がおしゃれな場所。この地域の特産品である奥久慈りんごを使ったジュースをいただいた。よく冷えていて、さわやかな甘さがとても美味しく、まさに涼を感じられた贅沢な時間だった。

(上の文章の順に)月待の滝、袋田の滝、daigo cafe(茨城県
写真(上)は、月待の滝を正面から見たところ。
写真(下)は、裏側から見たところ。